医療従事者の方々が過酷な状況下で戦い続けていることは、みなさんもニュースで目にしているでしょう。
ですが、実際の現場の雰囲気などはイメージできていないのではないでしょうか?(かくいう私もそうでした…)
そんなあなたにぜひおすすめしたい歌集があります。
救急救命医が医療現場を詠んだ歌集を「濃い試し読み」していきましょう。
『前線』犬養楓
救急救命医の犬養楓さんの歌集、『前線』です。
最前線で戦う医療従事者の思いを知れると話題の1冊です。
理解しやすい歌が多いので、短歌に慣れ親しんでいない人でも存分に味わえると思います。
以下で実際に短歌を鑑賞し、『前線』の魅力を堪能してみてください。
濃い試し読み
短歌鑑賞
人前でもう咳出来ぬ世界から息するたびに魂逃がす
マスクでも感謝でもなくお金でもないただ普通の日常が欲し
送られたエールと同時に拒絶感 宛先不明の強い違和感
世の中の風当たりにも耐えるよう防護ガウンを今日も着込んで
私の解釈
1首目では、世の中の息苦しさと自らの生きづらさを詠んでいます。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、咳をするだけで睨まれるような世の中になりました。
一方の犬養さんは、そんな息苦しい世の中と、慌ただしい医療現場で生きる中で、ため息をつくほど疲労しきっているように思います。
2首目は医療従事者の悲痛な叫びを感じ取れると思います。
3首目は、医療従事者を応援するメッセージに対する違和感を覚えていることを詠んだ歌です。
エールを送った人には、医療従事者を応援したい気持ちと、医療従事者は感染しているかもしれないからあまり関わりたくない気持ちがあったのではないかと推測します。
これは4首目にも関わってきますが、医療従事者は「頑張りに対して世間からなんとなく拒絶感を持たれている」と感じているような気がします。
私は医療従事者を理解しようとしていないのではないかと、自らを省みました。
まとめ
『前線』の魅力が伝わりましたでしょうか。
医療従事者の現状を知り、コロナ禍に対する新たな視点を得てはいかがでしょうか?
コメント