あなたが言う「多様性」は、本当に多様性なのでしょうか?
様々な場面で「多様性」の重要さが叫ばれるようになっていますが、多くの人々はある見落としをしています。
そんな現代の違和感に鋭くメスを入れた小説をご紹介します。
「読む前の自分には戻れない」と評される作品を、濃い試し読みしてみましょう。
『正欲』朝井リョウ
言わずと知れた天才作家、朝井リョウさんの作品です。
発売前から話題を集めていた本作ですが、各所で絶賛の声が広がっています。
検事の啓喜、女子大生の八重子、そして契約社員の夏月。
それぞれに悩みを抱えた3人のストーリーが並行して進んでいきますが、徐々に繋がって終幕へと向かいます。
これだけ聞くとよくある小説のように思うかもしれませんが、その「繋がり」を取り巻く社会に価値観が揺さぶられます。
新しい視点が欲しいと思うあなたにぜひおすすめします。
濃い試し読み
『正欲』は内容もさることながら、構成も素晴らしいです。
序盤にある記事が出てきます。
内容は概ね以下の通りです。
・3人の小児性愛者が逮捕された。
・容疑者の写真フォルダからは、水に濡れた男児の写真が大量に発見された。
・3人はその集まりを「パーティ」と称していた。
小説を読み進めていくうちに容疑者も登場してきて、「この人たちが小児性愛者で後々捕まるんだなー」と思っていました。
しかし、彼らの視点の物語を読むと、この記事の見え方がまるで変わります。
いかに自分の想像力の範囲内だけで物事を捕らえているかを突き付けられたような気がしました。
詳しく書くとネタバレになってしまうので、これくらいのことしか言えません。
真実はあなたの目で確かめてください。
マジョリティーとマイノリティーの双方の視点から物語が紡がれ、読者が「正しさとは何か」「多様性とは何か」を問われる傑作小説です。
まとめ
書きすぎるとネタバレになってしまうので、小説を「濃い試し読み」していただくのは難しいですね…。
少しでも魅力が伝わっていたらこれ以上の喜びはありません。
『正欲』を通して新たな視点を獲得してみてくださいね。
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