アートってなんとなく難しそうなイメージがありますよね。
特に、現代アートは抽象的でよくわからないと思います。
ですがこの本を読めば、そんな現代アートに対するイメージが大きく変わるはずです。
しかも、ビジネスで重要になる思考法を、実践を通じて学ぶことができてしまいます。
そんなアートとビジネスを繋ぐおすすめの本を「濃い試し読み」していきましょう。
『13歳からのアート思考』末永幸歩
『13歳からのアート思考』はかなり売れた本なので、ご存じの方も多いと思います。
6つの作品を通じて、大人が喪失してしまった「自分なりのものの見方・考え方」を養うことを目的としている本です。
プロローグの以下の言葉が印象的です。
ビジネスだろうと学問だろうと人生だろうと、こうして「自分のものの見方」を持てる人こそが、結果を出したり、幸せを手にしたりしているのではないでしょうか?
じっと動かない1枚の絵画を前にしてすら「自分なりの答え」をつくれない人が、激動する複雑な現実世界のなかで、果たしてなにかを生み出したりできるでしょうか?
私もこの言葉にドキッとしました。
他のアート思考関連書籍との違い
アート思考について述べた本は色々と出ていますが、わかりやすさでは『13歳からのアート思考』が断トツです。
「13歳からの」というタイトルからもわかる通り、平易な文章でわかりやすく書かれています。
ビジュアルも豊富なので、純粋に楽しみながらスラスラ読めます。
肩ひじ張らずにアート思考を学べる本書は、他のアート思考関連書籍とは一線を画していると言えるでしょう。
濃い試し読み「『すばらしい作品』とは?」
まずはこちらの作品をご覧ください。

これは、「20世紀のアートを切り開いたアーティスト」と称されるアンリ・マティスの作品です。
タイトルは『緑のすじのあるマティス夫人の肖像』。
さて、この作品にどんな印象をお持ちになりましたか?
「上手い!!素晴らしい!!」
と思った方は、まずいないのではないでしょうか。
では、なぜこの絵が評価されているのでしょうか?
アート界の秩序を破壊した「あるもの」

20世紀が訪れるまでの長い間、アーティストに求められたのは「写実的な表現」でした。
リアリティこそがアートの価値だったのだと末永さんは述べます。
しかし、そうしたアートの存在価値を大きく揺るがす「あるもの」が普及します。
それはカメラです。
カメラによって速く・正確に現実世界を写し取ることができるようになったため、「リアリティ」というアートの存在価値が崩れ落ちてしまいました。
そこで改めて「アートの存在意義」が問われることになりました。
目に映る世界からの解放
冒頭の作品に戻りましょう。
マティス夫人は鼻すじは本当に緑色だったのでしょうか?眉毛は本当に青だったのでしょうか?
まさかそうではなかったでしょう。
では、マティスはどういう意図を持っていたのか。
それはすなわち、マティスは「目に映るとおりに描く」というこれまでの発想から離れ、「色」を純粋に「色」として使うことを試みたのだと末永さんは言います。
アートにしかできないことを考え、「自分なりのものの見方・考え方」でアートを捉え直したからこそ生まれた作品が『緑のすじのあるマティス夫人の肖像』です。
まとめ
アートの面白さ、そしてアート思考の糸口が掴めましたでしょうか?
他の5作品に対する末永さんの解説も素晴らしく、引き込まれてしまうこと間違いなしです。
ぜひ読んでみてくださいね。
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